高い信頼性を求められる金融系システム開発において、柔軟で高度な安全性、安定性をもった情報システムを提供しております。
X社は日本の金融システムを司る大手証券系企業。キューブシステムは、同社の中枢とも言うべき基幹システムの運用管理と、そのための管理ツールの構築を任されております。基幹システムの中心にあるのは、有価証券の取引と派生売買を担う諸々のシステム。これらに情報系システム、決済系システム、基幹ネットワークが加わり、大規模かつミッション・クリティカルな一大金融システムが構成されています。
キューブシステムで現在進行しているプロジェクトは、取引系システムの維持保守、情報系システムのリプレイスにあたっての各種業務、20種類以上に及ぶシステムの運用全般、そして運用基盤となる管理ツールの導入となります。中でも情報系システムの比重が最も大きくなっています。システムの運用管理に際して必要となるのは、ITILと呼ばれる運用指針です。これはイギリスの政府機関が包括的にまとめたIT業務プロセスのフレームワークで、ITサービス管理を実行する上での業務プロセスと手法を体系的に標準化したものであります。あらゆる業種で幅広く利用されており、キューブシステムはJP1、SystemWalker等の管理ツールをX社の運用に即した形でカスタマイズし、実際のシステム運用に活用しております。
キューブシステムがこのシステムの運用管理を任されたのは8年前になります。当時の担当スタッフは10名弱で、キューブシステムと同じ立場で運用管理を任されている他ベンダを合わせると、この運用管理に携わるメンバーは数十名ほどで構成されておりました。
このシステムにおける最大のポイントは、業務を行う上でのキューブシステムの立ち位置にあります。通常の形とは異なり、PMO(Project Management Office)のメンバーとしてプロジェクトに参画しております。一般的には、顧客の情報システム部門様がキューブシステムを始めとする複数のベンダやソフトウェア開発会社にシステム開発や運用管理を依頼するところ、今回の場合はそれと異なり、メインとなるベンダが顧客の情報システム部門様を直接サポートさせていただく形で、他のベンダやソフトウェア開発会社と供にプロジェクトを遂行しています。キューブシステムは他数社と並んでPMOに参加する企業に選定いただき、X社のプロジェクトメンバーと一緒になって数十社ものベンダと供にプロジェクトを進めております。
X社のシステムはいずれも規模が大きく、開発や運用は全てマルチベンダによって行われております。よって、難点はベンダ同士の横連携となります。キューブシステムは各ベンダの役割を明確にして仕事上のグレーゾーンを解消し、それぞれのベンダが無理なく効率的に業務を進められるよう配慮しております。また、キューブシステムがX社から求められているのは業務知識ではなく、ITインフラの知識となります。要件定義に当てはめると、業務要件ではなく、サーバのスペックやウェブのレスポンスといった非機能要件の部分をご協力させていただいております。キューブシステムはX社の立場に立ち、同社システム部門の支援として各ベンダに開発や運営の指示を提示しております。
キューブシステムがPMOに参画することによるメリットは、指示を出す側と受ける側に共通理解があることです。キューブシステムのスタッフはみな開発経験も豊富であるため、システムを構築するベンダの状況についても把握することができます。よって、意思疎通の点で誤解や曲解を生むこともありません。また、非機能要件のご提案については、キューブシステムの強みを活かし、メーカー間の商慣習やルールに縛られず、お客様に最適な提案を行うことが可能となっております。
キューブシステムの特徴のひとつに、営業部門を持たない"総員営業体制"があります。SE自らが顧客との対話の中から課題を浮き彫りにし、プロジェクトの損益を判断しながら解決のためのシステムづくりを進めていく、会社全体の方針であり、キューブシステムの社員は、新人の時から徹底したコスト感覚を身に付けるべく教育されております。そんなキューブシステムのスタッフであればこそ、非機能要件について顧客をサポートさせていただくPMOの立場として、できるだけコストを抑えたいという顧客の要望を理解しサポートすることで、顧客のコストメリットを最大限に引き出すことが可能となります。
顧客の業務知識を柔軟かつ迅速に吸収し、自らが得意とするITの分野で期待どおりの成果を導くことで、X社におけるキューブシステムのPMOサービスは、複雑化、多様化するシステムインテグレーションにおいて、大変ご満足いただけております。
PMOは顧客サイドの立場となって仕事を進めるので、外部からは顧客と同じ立場に見られがちです。
でも実際は、あくまでも顧客の要求に応じてキューブシステムの得意分野を提供するという立場。業務を請け負う多数のベンダさんに対しても、けっして一方的に指示を出しているわけではありません。役割をしっかりと明確にし、滞りなくプロジェクトを進めることに神経を使う面が多いのも事実です。
また、顧客の業務知識を身に付けなければそもそも仕事が成り立ちません。そのため、さまざまな手法の顧客の業務知識を蓄積し、絶えず知見を積むことを自分にもメンバーにも課しています。
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