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対処すべき課題

 当社が属する情報サービス産業は、顧客サービスの高付加価値化ならびに人材不足を背景としたDX需要が継続しており、AI技術を活用した情報化投資やその導入支援が活発化しております。また、レガシーな基幹システムのクラウドへの移行や利便性向上を目的としたシステム構築に対するニーズは依然として高く、事業・業務の活性化に向けたAIサービスの本格的活用やクラウドサービス利用の拡大に伴い、今後もIT投資は拡大する見通しです。さらに、DX化の進展に伴い、システムの性能や信頼性の向上が課題として浮き彫りになり、サイバーセキュリティ対策の需要が一層高まっております。一方で、長期化するIT人材の不足から生じる受注機会の損失や人材獲得競争の激化に起因する人件費の増加により、収益環境が悪化する懸念があります。
 当社グループでは、「サステナビリティ基本方針」のもと、企業価値の向上と社会課題の解決の両立を目指し、サステナビリティ経営を遂行しております。中長期経営ビジョン 《VISION2026》 の実現に向けて事業基盤および経営基盤の整備を進め、2024年度から2026年度までの第2次中期経営計画において、飛躍的な事業成長に取り組んでおります。
 このような状況を踏まえ、当社グループが優先的に取り組むべき重点施策は、以下のとおりです。

事業の成長

 当社は、これまで培ってきた強みと実績を基に、デジタルビジネス、SIビジネス、エンハンスビジネスの3つを事業の軸として展開しております。第2次中期経営計画では、受託ビジネスにおける「Sier向け事業」「プライム向け事業」と企画ビジネスの「サービス提供事業」の3つの事業スタイルを通じてお客様に価値を提供し、事業成長を加速させてまいります。

 受託ビジネスにおける「Sier向け事業」では、主要Sierとの協業を基軸に、大規模案件の獲得やワンストップサービスの推進を図るとともに、レガシーシステムのモダナイゼーションへの対応や生成AIを活用したSI・エンジニアリング対応による差別化を通じて、事業領域の拡大を進めます。また、モダナイゼーション協業パターンの確立や横串組織との連携強化を通じた受注拡大を図るとともに、顧客の大型化や市場環境の変化を捉え、当社の強みであるソフトウェアエンジニアリング力を生かしつつ、幅広い業種・業務や新たな技術領域への挑戦を継続してまいります。さらに、見積・提案からプロジェクト実行までのプロセスや契約形態、サービスモデルの見直しを進め、付加価値の高いサービス提供を通じて収益性の向上を目指します。

 「プライム向け事業」では、受注規模の拡大と収益性向上の両立を目指し、既存プライム顧客との関係性を一層強化するとともに、新規顧客の獲得にも取り組みます。経営課題に直結するテーマに対してコンサルティング視点を取り入れた提案活動を行い、若手メンバーも含めた組織的な営業・提案体制を構築することで、既存案件の拡大と将来の成長につながる顧客基盤の形成を進めてまいります。

 企画ビジネスにおける「サービス提供事業」では、クラウド活用の高度化や仮想化基盤を取り巻く環境変化に対応し、国内企業のIT基盤変革を支えるサービスの提供を目指します。マルチクラウド移行や仮想基盤リフトを中心としたテクニカルクラウド独自サービスの展開を進めるとともに、クラウドベンダーやソリューションベンダーとの協業を強化し、多様なビジネス課題に応えるプロフェッショナルサービスを提供してまいります。あわせて、当社発の人的資本サービス『H・CUBiC※』の事業化を推進し、新たな付加価値および収益モデルの確立に取り組みます。
※当社が構想する人的資本サービス。人的資本経営をトータルに支援するサービスとして、人材情報管理システム、AI技術を活用した分析ソリューション、人材・組織の価値向上支援プロダクトから構成されている。
<参考>ニュースリリース「人的資本を多面的に支援するH・CUBiC構想」https://ssl4.eir-parts.net/doc/2335/tdnet/2512582/00.pdf

事業基盤の強化

事業成長を加速・促進するための事業基盤の強化は、当社グループにおいて重要な経営課題です。特に、以下4点の分野を成長の軸と位置付け、重点的に取り組んでまいります。
・研究投資
・協業推進
・生産体制の拡充
・品質の強化
①「研究投資」では、顧客ニーズや市場動向を的確に捉え、アンソロピックに代表される安全性・信頼性を重視したAI動向などの市場変化を踏まえつつ、AIを中心とした先進技術の活用と実装を重視した研究活動を展開します。全社横断で設定した中期的投資テーマに基づき、生産性向上や生産技術の高度化、新たな事業機会の創出に直結する研究テーマを選定し、研究プロジェクトを推進いたします。
 また、新たに設置したAI推進室を中心に、先進的なAI技術の実装・運用を通じてビジネス変革と生産性向上を牽引し、AIの価値を事業成果に結びつけてまいります。プロトタイプの設計・検証・実証を通じた実践的な技術ノウハウの蓄積を進めるとともに、研究成果の早期事業適用やサービス化を図ります。加えて、ソフトウェアエンジニアリングを基盤とした生産技術やAI活用技術の知的資産化を進め、持続的な競争優位性の確立につなげてまいります。

②「協業推進」では、主要Sierとの連携を深化させ、当社の強みを生かせる領域への集中を図ります。協業テーマの具体化や役割分担の明確化を通じて、社会課題や高度化する顧客ニーズに対応した付加価値の高いサービス提供を進めます。
 また、上流から下流までをワンストップで担うソフトウェアエンジニアリング力を中核に、担当領域の拡大や生産技術革新、生産性向上に取り組み、開発後のエンハンスも含めた長期的な価値提供を通じて顧客との関係性強化を図ります。社内では提案力強化研修や営業ナレッジの共有を継続し、全社一丸で協業価値の最大化に取り組んでまいります。

③「生産体制の拡充」では、生産革新の強化を軸に、生産性と対応力の向上を図ります。全社横断でリソースの最適配置を進めるとともに、国内各拠点において先進技術の活用やプロセス改善への投資を継続し、効率的な生産性の強化と安定化に取り組みます。
 さらに、子会社への発注強化や人材育成、役割分担の明確化を通じて、内製・グループ連携による生産体制を高度化します。あわせて、ビジネスパートナーとの協業を通じた品質水準の底上げを図り、ニアショア・オフショアを含む多様な生産リソースを活用した柔軟な生産基盤を構築してまいります。

④「品質の強化」では、不採算・トラブルプロジェクトの撲滅を最優先課題と位置付けております。高難度プロジェクトのリスクを早期に検知・コントロールすることに一層努めます。見積・計画段階から技術リスクおよび体制充足状況を厳格に確認し、本部QMSおよび全社QMSを有効に機能させ、層別に統制することで実効性を高めます。
 また、プロジェクト監理システムを活用した情報可視化や完了報告の定着を通じ、プロジェクト管理とフォローを徹底します。加えて、プライム事業・サービス事業の拡大やAI活用を見据え、品質基準プロセスおよび品質管理ノウハウの体系化を進め、持続的な品質向上を図ってまいります。

 重点的な取り組みに加えて、当社は2026年6月2日付で株式会社システムクリエイト(以下「システムクリエイト」という。)との間で資本業務提携契約を締結しました。
 当社とシステムクリエイトは、長年にわたり協業を重ね、実績を築いてまいりました。両社は、システム開発受託およびシステムエンジニアリングサービスの分野で高い親和性を有しており、東京・福岡の両拠点が連携することで、生産基盤と技術領域の相互補完・強化が可能となります。こうした強みを踏まえ、両社の事業基盤の連携を一層強化し、中長期的な企業価値の向上を図ってまいります。

経営基盤の強化

当社グループは、事業を支える経営基盤の強化・構築は重要な経営課題と位置付け、第2次中期経営計画においては、以下の3点に注力いたします。
・人的資本の充実
・内部統制/ガバナンス
・企業風土改革
①「人的資本の充実」では、V2026第2次中期経営計画の最終年度として、事業成長と生産性向上を持続的に支える人的資本経営の高度化を推進してまいります。「量的拡大」「質的充実」「意欲の向上」の3つを柱とし、事業戦略と一体となった人材施策を通じて、組織全体の競争力強化を図ります。
 量的拡大においては、新卒・中途採用の両面で採用チャネルの多様化を進め、事業成長に必要な人材を計画的に確保してまいります。加えて、採用後の早期戦力化を重要課題と捉え、育成・配置を含めたオンボーディングの高度化を図ることで、現場における即戦力の向上につなげてまいります。
 質的充実においては、若手・中堅・リーダー層それぞれに応じた育成体系を整備し、計画的な人材育成を推進いたします。特に、次世代を担う若手リーダーの育成や、専門性を発揮するスペシャリスト人材、プロジェクトを牽引するマネジメント人材の強化を通じて、組織力の底上げを図ってまいります。また、社員一人ひとりのキャリア志向に寄り添った育成計画の運用や、学習機会の提供を通じ、主体的な能力開発を後押ししてまいります。
 意欲の向上においては、評価・報酬制度の適切な運用を通じて、社員が安心して挑戦できる環境づくりに努めてまいります。あわせて、ウェルビーイング経営および健康経営の推進により、社員の働きがいとエンゲージメントの向上を図り、成長実感を持ちながら継続的に活躍できる基盤の構築を進めてまいります。

②「内部統制/ガバナンス」では、事業環境の変化や社会的要請の高度化を踏まえ、公正かつ効率的な経営を支えるガバナンス体制の実効性向上に取り組んでまいります。経営の監督・モニタリング機能を強化するとともに、迅速かつ適切な意思決定を可能とする体制整備を進めることで、持続的な企業価値の向上を目指します。
 特に事業戦略、人事戦略、品質・セキュリティ、コンプライアンスといった重要領域については、経営層による関与と牽制を通じてリスクコントロールを徹底し、経営判断の質の向上につなげてまいります。また、内部統制の仕組みが現場レベルまで確実に機能するよう、継続的な点検と改善を行い、実効性あるガバナンスの定着を図ります。
 さらに、災害・パンデミック、地政学的リスク、サイバーセキュリティ脅威などを想定した事業継続プログラム(BCP)の高度化を進め、非常時においても事業を継続できる体制の強化に取り組んでまいります。これらの施策を通じて、社会やステークホルダーから信頼される経営基盤の確立を目指してまいります。

③「企業風土改革」では、経営理念を起点に、社員一人ひとりが自律的に考え行動し、事業活動を通じて社会価値を創出する企業文化の醸成を目指します。企業価値の向上と社会課題解決を両立するため、役職や立場を問わず共通の価値観を持ち、主体的に行動できる風土づくりを推進してまいります。
 その基盤となるコンプライアンスについては、単なる法令遵守にとどまらず、会社に関わるすべてのステークホルダーの信頼に応えるための行動規範と位置付け、日常業務の中で実践される意識醸成に努めてまいります。また、多様性を尊重し、協調と挑戦が両立する職場環境の整備を通じて、組織全体の活力向上を図ります。
 加えて、ウェルビーイング経営の考え方のもと、社員と会社が共に成長し成果を分かち合える関係性の構築を目指します。地域社会への貢献、環境に配慮した経営、人権尊重といった取り組みも企業活動の重要な要素と位置付け、持続可能な社会の実現に貢献する企業風土の定着を図ってまいります。

 これらの施策により、2027年3月期の連結業績の見通しにつきましては、売上高20,000百万円(前期比8.1%増)、営業利益1,800百万円(同15.5%増)、経常利益1,810百万円(同14.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,500百万円(同4.1%減)を見込んでおります。なお、親会社株主に帰属する当期純利益は、2026年3月期に投資有価証券の売却による特別利益の計上があったため、2026年3月期から減少しております。



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